洟垂れ小僧の底に底あり

最近何かと思い悩むことが多い。

ただ、悩みの種は解り易いので、そんなに重荷ではないけれど。

しかし詰まる所、安易なことで悩むようになってしまった自分が問題なわけで、非常にくだらない。

「凡庸だ。酷く、凡庸だ。」

と呟くことが多すぎる。

凡々たる日々に、色気が無さ過ぎるからか、体にも目にも、脳天にも指先にも、気力が入らない。

由々しき事態だ。

酷く凡庸だ。

色彩が眩んでしまっている。

凡々たる、存在だ。
 
 
 
◆◆◆

 冬の日

私を愛する七十過ぎのお婆さんが、
暗い部屋で、坐つて私を迎へた。
外では雀が樋(とい)に音をさせて、
冷たい白い冬の日だつた。

ほのかな下萠(したもえ)の色をした、
風も少しは吹いているのだつた、
紐を結ぶやうな手付をしてゐた。

とぎれとぎれの口笛が聞えるのだつた、
下萠の色の風が吹いて。

あゝ自信のないことだつた、
紙魚(たこ)が一つ、颺あがつてゐるのだつた。

(角川ソフィア文庫「中原中也全詩集」より)

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